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【注目決算分析】高砂香料工業(4914)2025年3月期決算を解説|過去最高益を達成、海外成長がカギに

2025年6月発表の決算から、高砂香料工業の業績と今後の展望をまとめました。


目次

Contents

  • 会社概要と事業セグメント
  • 2025年3月期決算のポイント
  • セグメント別・地域別の成長動向
  • 2026年3月期の会社見通しと減益要因
  • 中期戦略(NGP-2)の進捗
  • 株主還元と資本政策
  • まとめ:海外成長と人口増加が将来のカタリストに

会社概要と事業セグメント

高砂香料工業は1920年創業、食品・日用品・医薬品などに使われる香料や中間体を製造・販売する日本有数の香料メーカーです。従業員は約3,400名、世界各地に拠点を持ち、グローバルに展開しています。

主な事業は4つのセグメント:

  • フレーバー事業:飲料・菓子・調味料向け食品香料
  • フレグランス事業:洗剤・芳香剤・香水向け香料
  • アロマイングリディエンツ事業:天然・合成香料の原料製造
  • ファインケミカル事業:医薬品中間体などの受託製造

2025年3月期決算のポイント(連結)

  • 売上高:2,292億円(前年比+17.0%)
  • 営業利益:153億円(+562.4%、過去最高)
  • 当期純利益:133億円(+393.8%)
  • 営業利益率:6.7%(+5.5pt)
  • ROE:9.8%(目標8%以上達成)
  • フリーキャッシュフロー:98億円(過去最高水準)
  • 現金残高:355億円(前年比+172億円)

業績急拡大の背景には、全セグメントでの利益改善と、特に海外市場の売上増加が大きく寄与しました。


セグメント別・地域別の成長動向

セグメント別成長率(売上 / 営業利益)

  • フレーバー:+9.8% / +351.0%
  • フレグランス:+18.8% / 黒字転換
  • アロマイン:+20.7% / +183.8%
  • ファインケミカル:+84.0% / +946.2%

特にファインケミカル事業が爆発的な成長を遂げており、欧米の製薬企業向け出荷が伸びました。

地域別の成長率(売上 / 営業利益)

  • 米州:+32.2% / +1,514.5%
  • アジア:+24.5% / +122.9%
  • 欧州:+18.2% / 赤字→黒字転換
  • 日本:+1.7% / +229.5%

海外比率の高さが際立っており、グローバル展開の成果が表れています。


2026年3月期の会社見通しと減益要因

  • 売上高:2,300億円(+0.3%)
  • 営業利益:125億円(△18.5%)
  • 純利益:117億円(△12.2%)
  • 配当:240円(据置、株式分割前換算)

前年の一過性要因(政策保有株売却益や利益戻入)の剥落、関税コストの増加、販管費の増加が影響し、減益見通しです。


中期戦略(NGP-2)の進捗

  • 海外展開:中南米・中東・インド市場の開拓に注力
  • 収益性改善:高付加価値製品シフト、生産・物流効率化
  • 環境対応:再生可能エネルギーの導入やLCA評価の推進

株主還元と資本政策

  • 配当:240円(配当性向40%、DOE3.2%)
  • 株式分割:2025年10月に1株→5株
  • PBR:0.86倍(1倍回復を目指す)

財務の健全性が高まり、積極的な株主還元方針が維持されています。


まとめ:海外成長と人口増加が将来のカタリストに

高砂香料工業は2025年3月期に過去最高益を達成し、財務・キャッシュフローの両面で大きな改善を見せました。中でも海外比率の高さと成長性が際立っており、今後の新興国における人口増加・消費拡大が長期的なカタリストとなり得ます。

フレーバー・ファインケミカルを中心に世界需要を取り込みつつ、安定した株主還元と収益性強化にも注力する同社は、今後も注目すべきグローバル銘柄の一つです。

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