2025年1Q決算と合わせて、Axon Enterprise(アクソン)という企業について整理しました。警察や公共機関向けの製品を多く手がけており、AIやクラウドを活用した成長が目立っています。
Contents
- 事業内容
- ボディカメラ市場での優位性
- ソフトウェア・サービスの拡大
- 2025年Q1決算のポイント
- 投資視点での注目点
事業内容
Axonはもともと「TASER」ブランドで知られる非致死性武器メーカーとしてスタートしましたが、現在は以下のように事業を多角化しています。
- 電気ショック武器(TASER):警察・軍・民間向けに提供。
- ボディカメラ・車載カメラ:ライブストリーミング・GPS・AI処理対応。米主要都市で85%のシェア。
- クラウド型証拠管理(Axon Evidence):映像や音声をクラウド上で管理、自動赤線処理など。
- AIソリューション(Draft Oneなど):音声データから報告書を自動生成。
- ドローン・対ドローン技術:公共安全用途に展開。
- 商業施設向けセキュリティ:小売業向けに統合監視ソリューションを提供。
- VRトレーニング:警察官向けの教育プログラム。
ボディカメラ市場での優位性
- 米国の主要都市でのシェアは85%とされ、事実上のリーダー企業。
- 車載カメラや固定カメラなど、ラインナップを広げてシステム全体でカバー。
- クラウド証拠管理との組み合わせにより、SaaS型のビジネスモデルが成立。
ソフトウェア・サービスの拡大
- Draft Oneに代表されるAIソリューションにより、現場の報告書作成時間を大幅に短縮。
- 自社開発のクラウド基盤「Axon Evidence」は、証拠管理の標準となりつつある。
- 顧客との長期契約を通じて、ARR(年間定期収益)の拡大を続けている。
2025年Q1決算のポイント
- 売上高:前年比+31%
- ソフトウェア&サービス部門:+39% YoY
- コネクテッドデバイス部門:+26% YoY
- TASER:+19%
- ボディカメラ等:+30%
- 車載・拡張機器:+51%
- 粗利率:60.6%
- 営業損失(GAAP):-9Mドル(株式報酬費1.4億ドルの影響)
- 受注残高:+41%増
- non-GAAPでは黒字転換
- 通期見通し上方修正
投資視点での注目点
- AIとクラウドを軸とした構造的成長。
- ボディカメラを起点とした高シェアと収益モデル。
- Draft OneなどのAI製品群が効率化と拡張性を支援。
- 政府・自治体との長期契約による安定収益。
- セキュリティやテロ対策、軍事といったカタリストが豊富。
まとめ
Axonは、単なるハードウェアメーカーから脱却し、AIとクラウドを活用した公共安全テクノロジー企業へと進化を遂げています。
特に注目すべきは、**音声認識AI「Draft One」**の存在です。これは現場の音声データをもとに、報告書を自動で生成できるもので、警察官の業務効率を大きく改善する画期的なツールです。報告作成にかかる時間や労力を削減しつつ、証拠性や正確性を担保できる点で、現代の公共安全ニーズと非常に親和性が高いといえます。
また、Axonの事業全体がAIを基盤に再構築されつつあることも見逃せません。Draft Oneに加え、音声アシスタント、リアルタイム翻訳、ナンバープレート認識など、製品群の中にAI技術が深く組み込まれています。
これらの取り組みは、単なる業務効率化にとどまらず、「安全を守るスピード」と「判断の質」を同時に高めることにつながっており、AI時代における公共安全インフラとしての重要性を増しています。 AIという成長ドライバーと、ボディカメラ分野でのリーダーシップ。これらが融合するAxonは、今後も注目すべき企業のひとつだと感じています。
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