米サイバーセキュリティ企業「クラウドストライク(CrowdStrike、$CRWD)」が2026年第1四半期(2026-1Q)の決算を発表しました。堅調なSaaS収益、AI活用によるサービス進化、そして過去最高の営業キャッシュフロー(営業CF)など、注目すべきポイントが目白押しです。
事業概要:次世代セキュリティのリーダー
クラウドストライクは、PCやクラウド環境を対象としたセキュリティサービスを提供するSaaS企業です。
具体的には以下のような機能を有しています。
- システムの保護とデバイスの認証情報漏洩・不正アクセスの検知
- データ保護と最新の脅威への対応
- 専門チームによるサイバー攻撃時の調査・対応支援
導入実績も圧倒的で、Fortune 500企業のうち約300社が同社サービスを利用しており、その信頼性の高さが伺えます。
2026年Q1決算のハイライト
- SaaS収益が前年比+20%成長し、全体の売上の**約90%**を占める堅調な成長を維持
- **粗利益率(GAAPベース)78%**と高水準
- 営業キャッシュフローが過去最高を記録
- 現金残高も過去最高水準へ到達
GAAP vs. Non-GAAP:その差とは?
- GAAPベースでは、人件費・マーケティング費用の増加により営業赤字・純利益赤字
- 一方、non-GAAPでは以下の通り黒字を確保:
指標 | 2026-1Q | 2025-1Q | 増減率 |
営業利益(non-GAAP) | 2.79億ドル | 2.13億ドル | +31.0% |
純利益(non-GAAP) | 1.84億ドル | 1.98億ドル | -7.1% |
EPS(non-GAAP) | $0.73 | $0.79 | -7.6% |
EPSと純利益は前年を若干下回ったものの、営業利益は大幅に成長。事業基盤の強さが見て取れます。
今後の成長戦略:カギは「AI活用」
クラウドストライクは今後、AIを活用した新機能の開発・導入を成長戦略の柱と位置づけています。
すでに同社のセキュリティ製品群にはAIが深く組み込まれており、クラウドベースならではの柔軟性とスピードで、世界中の高度な脅威に迅速対応できるのが大きな強みです。
2026年度 通期見通しと注目ポイント
- 売上高予想:47.43〜48.05億ドル
- EPS(non-GAAP):3.44〜3.56ドル
- GAAPベースでの黒字化:2026年第4四半期で達成予定
- 米国市場売上比率:全体の67%と依然として主軸
クラウドストライクの競争優位性とは?
競合はMicrosoft Defender for Endpoint や SentinelOne、Palo Alto Networks など大手がひしめくが、CrowdStrikeの武器は次のようになる。
同社の最大の強みは、最初からクラウドベースで構築されている点。これにより、オンプレミス(物理サーバ)型と比べて以下の点で優位性を持ちます。
- 世界中の脅威をリアルタイムに検知・対応
- システムの導入・更新が迅速
- ユーザー企業のIT負荷を最小限に抑制
- クラウドネイティブ構造ゆえに製品間のデータ連携コストが低く、リリースサイクルも短い。
まとめ:収益力と成長力を兼ね備えたサイバーセキュリティの雄
クラウドストライクは、黒字のnon-GAAP決算と営業CFの強さ、SaaSの収益拡大、AIによる製品進化を武器に、今後も中長期での成長が期待される企業です。
2026年にはGAAPベースでの黒字転換も見込まれており、「利益と成長」の両立を果たす局面に差しかかっています。 今後も「AI × セキュリティ」の最前線を走るクラウドストライクから目が離せません。
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